自分が可愛い
ただ それだけのことで
生きてきた
それが 深い悲しみとなったとき
ちがった世界が
ひらけて来た
浅田正作「骨道を行く」法蔵館
浅田さんの別の詩で「この 小さい虫は 止まっている木の枝を これが全世界だと 我が身をいっぱいのばして 計っている」というのがあります。わたしたちは、自分が体験して、理解して、頭で分かっていることがすべてだと思っています。しかし、わたしたちは、自分の人生の中で自分の思い通りにならないことを、しばしば体験します。そのとき、わたしの世界だけでは通用しないことを知らされます。実はその体験は、回心への呼びかけとなっているのです。わたしの世界が破れたときに、わたしに新しい世界がひらかれていくのです。
Comments